MFTの願い

日米指導比較

本文は、ベースボールクリニック2001年9月号に掲載されました。

日本とアメリカの基本のとらえ方の違い(佐藤 洋)

〜逆シングルや、ランニングスローはアメリカでは基本動作〜

日米の中学生が試合を行うと、日本の選手のほうが、エラーも少なく、連携プレーもうまく、アメリカの選手に比べて、野球をよく知っています。

これは、アメリカに比べて日本の方がはるかに多くの大会があり、試合経験が豊富なためだと思われます。

日本の中学生は、強い打球のノックを数多く受け、それを体の正面で確実に取る練習を繰り返し、その結果、試合におけるエラーが少なくなっています。

一方、アメリカの中学生はどのような練習をしているかといいますと、軽く転がされたゴロを、様々な場面を想定して、足の運び、スローイングまでの体の使い方を繰り返し繰り返 し練習しているのです。

日本では、中学生の時期ではあまり積極的に教えない逆シングルキャッチや、ランニングスローなどをすべて基本動作ととらえて、何度も繰り返します。

いきなり行うのが難しいプレーも、基本動作ととらえて、何度も繰り返すことによって、確実に身につけていくのです。実戦に即したノックを受ける本数が日本に比べて少ないために、彼らは試合でミスを多く犯しますが、メジャーの選手のようなダイナミックで、スピーデ ィーな守備の基礎はこのような練習によって確立されるのではないでしょうか?

アメリカでは、小・中学生も、メジャー選手もみな同じベースボールを行っているという考えに基づいています。「メジャー選手の行うプレーが、応用で難しいから、小・中学生で禁止する」という考え方ではなく、むしろ早い段階から積極的に練習に取り入れることで、将来高い次元でプレーができるように、足場を固めているという考え方なのです。

日本ではこうしたプレーは、雑なプレー、派手なプレーととらえられ、ミスの原因になるということで、若い年代では確実に体の正面で捕る事に重点をおくといった、年齢にあわせた指導をするケースが多く見られます。

そのおかげで、日本では早い段階から比較的エラーの少ない試合を展開することができているように思います。若いうちから数多くの試合をこなすことで、実は日本の選手は、「速い球を投げる投手にどう対処しようか」、「パワーヒッターを抑えるためにどう投げようか」、というような、相手のレベルに合わせて実戦に役立つような、プレー中の工夫をする能力が非常に高くなっているように思います。

両国のこの練習指導の差はおそらく試合で勝つことを要求されているか、それとも、中学生の段階では、将来大きく育つための足固めの場だと考えるかの差だと思われます。

日米の子供への接し方(レジー スミス)

日本と違い、アメリカでは子供達に礼儀や聞く姿勢を厳しく注意する習慣がないため、日本の人から見ると、熱心に聞いている子が少ないように感じられるかもしれません。

日本は落ちこぼれをひとりも出さないということを念頭においていて、練習に熱心でなくあまり聞く耳を持たないような子に対しても誤った道に行かないように、厳しく、そして粘り強く指導します。

私は日本から、時には厳しく接することも大切さだということを学びました。

集団で行動する上で、ルールを決めることは非常にいい事で、最低限のルールを設定することで、責任の所在がはっきりし、ルールを守るために、子供達は、自分で考えていろいろ工夫するようになります。

ただし、日本の指導は、細かいルールを作りすぎて、子供を小さな箱の中に閉じ込めてしまう傾向があるように感じます。失敗させないためのルールではなく、細心の注意を払いながらも、失敗を経験させることによって、人間は成長していくということを、指導する側は念頭におく必要があると思います。

子供の好奇心をかきたて、失敗も含めた多くの経験をさせてあげることで、子供が入っている箱が最初は小さくても、その箱を大きくしてあげるような指導が本当の教育であると思っています。

アメリカで成功するためには、誰からも言われなくても、自分に厳しく接することができる強い自覚が必要です。日本では、失敗させないために、細かい指示をして、ある意味子供を守っていますが、ある程度自分で判断する機会を与えてあげないと、自立心が育たず、本当の強さが身につかないように思います。

真の一流の人間とは、強制された練習をこなすだけではなく、上達したいという気持ちから、自分に必要な練習を判断して、自分自身に厳しくその練習を課すことができる人間だと思います。
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