伸びる球を投げる
いい投手は、ボールが浮き上がるように見えます。野手の送球でも伸びがあると、遠くまでスーッと送球することができます。 伸びるボールと、そうでないボールの違いは何でしょうか?
● 回転数が多く、縦回転のボール縦回転で回転数の多いほど、浮き上がって見える、いわゆる伸びのあるボールになります。
プロの投手の直球は、ホームベースまでに平均で約17回転(注)します。なかには20回転もする投手がいて、そういった投手はストレートで三振の山を築いています。
(注)1秒あたりの回転数に換算すると、球速にもよるが35~40回転くらい。
※回転軸がわかりやすいように、ここではボールの代わりにスピナーで説明しています。
サイドスロー・アンダースローは、回転の傾きが大きくなります。
傾きが大きくなれば、キレのいいシュートボールになります。
回転軸が安定することで力のあるボールを投げることができます。
傾けたら…
アンダースローの投手の上半身の傾きを変えてみた絵をご覧ください。
オーバースロー(スリークォーター)の投手と、あまり変わらない形になることがわかると思います。
このように、上からでも横や下から投げても、上半身の傾きが違うだけで、基本的には上半身の使い方にはそれほど差がありません。
伸びのないボール
進行方向に対し、回転軸がずれていれば、伸びのないボールになります。回転数が多ければ変化します(写真の場合はスライダー)。
一方、回転軸が一定しない場合(スピナーではボールがフラフラして見える)は、力のないボールになります。
初心者や遠投力のない選手はこのタイプが多いです。
実際にボールを投げるときには、自分の回転を確認することができません。
受け手から、「今のボールの回転は良かった」とか、
「今は良くなかった」
と言われても、投げる瞬間にはわかりません。
そのため、回転の良し悪しと投げる瞬間のイメージが具体的に結びつかず、
修正するのは難しいです。極端なことをして、ますます崩してしまう場合すらあります。
しかし、スピナーを使ってキャッチボールをすれば、 一球一球自分の回転をチェックしながら 投げることができ、 高いレベルの精度の回転を身に付けることができます。
※ 硬球や軟式C号球とほぼ同じ大きさ、重さのため、普通の感覚でキャッチボールをすることができます。その形状も回転を覚えやすいようにボールの幅なども研究されています。
投手に有効なのはもちろん、捕手のセカンドスローの練習の前に、 スピナーで回転を確認するというチームでは、 伸びる球が投げられるようになるため、 捕手の肩への負担が減り、スローイングが正確になったという報告もあります。