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基本 > 運動能力を高める > 神経回路の構築

小学生が同じ動きばかり続けると

神経細胞の発達 素振りをずっと続けていたら、途中から思うように振れなくなった経験ありませんか?

新たな技術を習得し、その動きの精度を高めるために、反復練習があります。

何度も何度も同じ動きを繰り返すことによって、その動きを体が覚えていきます。

しかし、こんな経験はないでしょうか?

反復練習をしていて、途中からいい感じになり、「コツがつかめた」と思ったが、やがてどうしてもうまくいかなくなってしまった…

小学生に過度に反復練習をさせると、どうなるでしょうか?

まだ周囲の子供がそれほど練習を積んでいない中で、一人だけ繰り返し同じ動きを反復することで、その時点では周囲の子よりも上手に特定の動きができるようになります。小学生の間は活躍できることでしょう。

しかし、将来の成長を考えた時にいくつかの弊害が考えられます。

1. 悪いクセが定着する

字が上手になるためには、どうすればいいでしょうか?

漢字帳に、たくさんの漢字を書き続けたら、字は上手になっていくでしょうか?

一番いいのは、上手な字をまねすることです。

単なる反復練習は、フォームがしっかりできていない場合は、逆に悪いクセの定着につながってしまう可能性があります。

2. 神経回路の成長に偏りができる

神経細胞の発達 同じ動きばかり繰り返すと、神経回路の成長に偏りができる

様々な動きを学習できるこの時期に、あまりにも過度に同じ動きばかりをしていると、神経回路の発達に偏りができます。

年齢が進むとともに必要になる、より専門性や応用性の高い技術の習得には、神経回路が多種多様に張り巡らされている方が良いと言われています。

つまり、小学生の時に一生懸命頑張り過ぎたために、一時的に成長しても、神経回路の偏りによって、将来のその選手の伸びしろを奪ってしまうことになるかもしれないのです。

3.体が硬くなる

体のメンテナンスをせずに同じ動きばかり繰り返すと、深層筋(インナーマッスル)が硬化し、しなやかな動きができなくなる 体のメンテナンスをせずに同じ動きばかり繰り返すと、深層筋(インナーマッスル)が硬化し、しなやかな動きができなくなる

同じ運動を繰り返すことで、もう一つ問題があります。

人は生まれた時は皆、非常に柔らかい筋肉をしています。

筋肉がゴムのように自由に伸び縮みをすることで、しなやかな運動をすることができます。

しかし、同じ姿勢を続けたり、同じ動きを過度に繰り返すことで、徐々にその柔らかさを失っていきます。

筋肉は大きな力を発揮する表側についている表層筋(アウターマッスル)と、姿勢を支えたり関節の位置を正常に保つ骨に近い深層筋(インナーマッスル)があります。

例えば、長時間机に座ってパソコンを操作していると、肩がこります。同じ姿勢を保つために、深層筋が働き続けて疲労するからです。

ボールを投げたりバットを振ったり、大きな力を発揮すると主に表層筋が疲労し、筋肉痛になったりします。

それを何度も過度に反復すると、比較的持久力のある深層筋も疲労していきます。

表層筋の疲労は、マッサージで直接触ることもできるし、ストレッチで伸ばしやすく、疲労を取り除くことが比較的簡単です。

一方、深層筋の疲労は、奥がだるい・重いなどの感覚で、疲れを取りにくく、慢性的な疲労が蓄積しやすいのが特徴です。

深層筋が硬化すると、関節の動きが悪くなり、いわゆる体が硬くなった状態になります。

● 本人は同じ投げ方をしているつもりでも…

本人は今までと同じ投げ方をしているつもりでも、関節が硬くなってくると、無意識のうちに投げ方が変わっていきます。

そして、今までと違って思ったとおりの球が投げられなくなります。

それでも投げ続けると、神経系の発達する時期ですので、誤った動きを学習してしまい、悪いクセとして定着してしまうかもしれません。

悪いクセのついた動きによってますます疲労がたまりやすくなるという悪循環に陥ってしまう可能性があります。

体のできていない小学生には、「疲れ」が出る前に、その練習を終わらせてあげる配慮があるといいでしょう。

できることなら、動きがいい感じになったところで終わると、いいイメージを脳が覚えますので、上達につながっていくことでしょう。

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