【軍隊式からの脱却こそが進歩への突破口】

高校野球では当たり前の環境に違和感を感じる事が多々ありました。          「プロ野球とは違うんですよ!」                          そう言われた言葉が頭から離れません。

「伝統を守る」

この意識が強すぎると、改革を恐れるあまり                    停滞へと導かれてしまいます。                           ひとつの突破口は、「日本では」ではなく「世界では」                 に目を向ける事で、視野が広がると思います。

プロ野球で共にプレーした外国人選手たちは、                    日本のプロ野球のスタイルを見て

「That’s a crazy idea」

(それは無謀なアイデアだ)

そう首を捻る姿を私が現役だった40年も前から聞いていたので、            「何がおかしいのだろう?」                            そんな視点で興味を持って話を聞いていました。

「hard work!」練習のやりすぎ

「It’s not fun!」楽しくないよ

この言葉がヒントになりました。

日本に野球が入ってきたのは、1872年(明治5年)とされています。          およそ153年前です。軍隊式の影響を受けるのはごく自然な事です。

日本の歴史的背景が大きく関係しており、                      明治時代から戦前にかけての教育とスポーツの関係がその理由です。

その教育には軍事教練が組み込まれ、そのため野球の練習やチーム運営にも、       軍隊の規律や上下関係、集団行動が持ち込まれました。                軍隊式の訓練は、精神力とチームワークを鍛えることを目的としています。       これが、野球の「精神論」や「根性論」といった考え方につながりました。

軍隊には厳格な階級があり、上官の命令は絶対です。                 これが野球においては、監督やコーチの指示を絶対視し、               先輩と後輩の厳しい上下関係を重んじる文化へと発展しました。            

高校野球の開会式で行われる整然とした行進や、                   全員が同じ髪型(丸刈り)にする風潮は、この名残と考えられています。

軍隊では、個人の失敗が全体に影響することが多いため、               連帯責任が重んじられます。これは野球でも                    「一人がミスをしたら全員で罰走」といった形で継承されました。

時代が変わり、教育における体罰や過度な精神論は批判されるようになりました。    近年では、自主性を重んじる指導法や、選手個々の個性を伸ばすチームが       増え始めています。しかし、野球界に深く根付いた「軍隊式」の文化は、        未だに多くの場所でその名残を見ることができます。

時は進みました!

どうか改革に向けて、一球一球指示を出したり、                   大人が子どもの世界へ介入し過ぎる事に違和感を感じる方が             増える事を祈るばかりです。

「俺たちの時代は」は危険です!

「これからの時代は」に大きく転換する柔軟性が、                  さらなる野球界の発展への繋がります。                       軍隊式の限界を感じます!

※稀に非行や犯罪に走る生徒に対しては軍隊式が効果をもたらす場合もあります。

【勝利至上主義がもたらす感覚のズレ】

各年代における故障のリスクを考える必要があります。                高校生になり「肩が痛い・肘が痛い」は、                      高い確率で小・中学時代の再発でした。                       中には、高校入学前に「手術」を経験している生徒も                少なくありませんでした。                             驚いたのはそれが「勲章」のような認識を持っている事に              驚きを隠せませんでした。                            

 「私立高校なら、強豪校なら、甲子園を目指すなら仕方がない」           そんな驚くような考えが存在しています。 

子どもたちの体を守れない要因に                         「勝利至上主義」が見え隠れします。

MLBやNPBの身体が出来上がっている選手でさえ                  先発投手の球数は「100球」が目安となっているのに、                まだまだ骨の成長が止まっていない小さな体、                    細い腕の小・中学生が勝利を優先するあまりに、                   特に能力の高い選手に負担をかけて                        故障を発生させるケースが少なくありません。                    幸い球数制限が導入され、子どもたちの体を守ろうとする              方向性は素晴らしいと思います。                          

高校生以上のアマチュアの世界も、                        「継投」に大きく舵を切るチームも増えて来ました。                 しかし甲子園の大会を見ると、タイブレークまで                   1人で150球前後を投げさせ、それに対して報道機関も                

「1人で投げ抜いた」「その姿に感動した」などを                  目の当たりにするたびに、日本独特の美学に戸惑いを隠せません。           

将来ある生徒を故障させないで次のステップ送り出す。                仮に高校で野球を辞める生徒に対しても、                      コンディショニングにおける教育を指導者が示すことは、               今後の野球界にとっては必要ではないでしょうか?                  

勝利を目指す事はスポーツにおいては当然のことです。                しかし、未成年に対する勝利の目指し方には、問題が山積しています!

野球人口目指す目指す

現場を離れて、今後の課題やスポーツを通して                    どう選手と向き合うべきか、こんな事あんな事を書き記します。

【野球人口増加を目指す】

野球人口減少に対し、現場はあまり危機感を持っていない。              そんな印象を持っています。

オフ期間に行われる野球教室も単独校での企画は高野連から禁止とされていて、      複数校であれば認めると言ったルールが存在しています。               生徒の勧誘行為に対する制限のようですが、                     小学生チームに対し高校生のお兄ちゃんが教える                  「野球の楽しさを伝える効果」は大人には太刀打ち出来ない絶大な効果があります。

宮城県内で積極的に活動しているチームは少なく、                  そんな事より自チームでの練習が優先されるのは                  仕方がないことかもしれませんが、野球人口増加を目指すのであれば、         各学校で力を合わせて取組むべき課題だと思います。