小学生が、土日祝日は朝8時から夕方5時まで練習をして
平日は毎晩素振りやトレーニングをしていると言う。
私はこのセリフを聞くたびに心が痛む。
ほとんどの指導者の
「俺が子どもの頃はこのくらいの練習をした」は
高校時代の話が基準になってしまっている。
なぜそんなに細い体をした子ども達に
長時間の運動を求めるのか、私にはまったく理解が出来ない。
完全なオーバーワークで、肘、肩を壊す子ども達がたくさんいる。
おそらく「勝ちたい一心」なのだろう。
確かにこの時期は練習すればするほど成果があがる。
そしてチームは強くなる。
地区大会優勝、地方大会、全国大会・・・
大人は充実感でいっぱいである。
そこに大きな落とし穴・・・
骨も柔らかいし、筋肉も柔らかいので
長時間練習も、豊富な試合数もこなせる。
しかし、私には子どもの能力を潰し
故障へ向かっているように思えてならない。
厄介なのは、一生懸命やって何が悪いの。
勝つことによって喜びを与えたい。
子どもの事を真剣に思ってやっている・・・など
「子どものために」と考えているから、本質が見えにくい。
これらは「今」ではない。
小学生の時に素晴らしいプレーをしていた選手が
高校時代に伸び悩む。
甲子園では常連校なのに、プロ野球選手が生まれない。
今、結果を求めるのか
それとも少し先を見据えて
子どもの持っている能力を最大限引き出すのか。
今さえ良ければ良い人は
朝から晩まで練習すれば良い。
ただその場合、子どもが犠牲になることだけは
忘れないで欲しい。
子どもの持っている能力を引き出す立場の指導者が
子どもの能力を潰すのは辛すぎる。
知らないとは恐ろしい。
昔は運動中に、水を飲むのは禁止だった。
その考えが主流の時に、どこかで誰かが
「水を飲まなければダメだ!」と言っていたはずである。
その人は周りから変人扱いされたと思う。
しかし、今は水を飲まさない指導者は皆無であろう。
その事と、似ていると私は思っている。
長時間の練習によって技術のレベルアップを目指すより
筋肉や骨の発達を優先させたい。
そして運動能力や運動神経を磨く大切な時期だからこそ
長時間の練習、ボールの投げすぎは避けなければいけない。
勝ちたい一心は、見えるものを見えなくさせてしまう。
どことなく恋愛に似ている。
基準を設けるなら、子どもの最大運動量は
三時間以上は禁止である。
正しい運動量と、正しい身のこなしを覚え
チームの環境を整えさえすれば、
勝利は勝手に転がり込んでくる。
空いてる時間は、友達と遊べば良い。
勉強すれば良い。
そして、家族と過ごす時間を大切にして欲しい。
もっと余裕がないと、心身ともに成長するのは難しい。