11/29(土)に開催された研究会の報告です。
話し合われた内容を一部公開させていただきます。
今後のチーム方針など、ご活用いただけましたら幸いです。
◆テーマ◆
「親の願い」 「指導者の願い」
【最初に】
・非常に深いテーマ。指導者と親が同じ方向を向くのが難しい現状を踏まえ議論したい。
【親の願い・親の立場として】
・今、恵まれた環境にいる。
・親としては勝ち負けよりもその子のベストが出せればいいと思っている。
・長男の時は今の感覚が分からず、「頑張れ」と励ましていたが気がついたら長男が故障していた。
・「レギュラーと補欠」については、結果でしかない。
・親はレギュラーを願っているもの。
・息子にゴルフをやらせた(小1~)。しかし、息子自身の希望で野球を始めた(小3~)。チームに任せたが、息子が小6のときにチームの手伝いをしてみて、大人同士の考えに違いが見えた。
・息子に「頑張ってレギュラーとれよ」とは言わなかった。
・息子は高校まで野球を続けたが、その過程では親の力よりも周りの力が大きかったと思う。
・今、息子との距離感はいい感じだと思う。
・私のチームは保護者コーチはゼロです。
・小学生チームのレギュラーは年功序列が良いと考えている。
・小中学生では年齢±2歳くらいの差はあるもの。それを理解しないといけない。
・親もコーチも一喜一憂したいんですよ。それが過熱してしまうことが問題。
・勝つことと楽しむことの優先順位が違っている。
・息子のチームには今新入団員がいない。卒団生が、自分のチームには入らないほうがいい、と言っている。それが最大の要因だと思うが、チームのコーチは重要視していない。
・息子たちにどのような願いをもっているのか、改めて考えてみたが、実はこれ、というものが浮かばなかった。野球を全く知らない私は、子どもの為にいろいろなことを覚えるのに一生懸命だった。長男が小5のときにチーム指導者から心無い仕打ちを受けて初めて、とにかく楽しくやらせたい、とはっきり認識した。
・自分自身が楽しめずに柔道をやってきたが、そのようにしたくはなかった。長男小6のときのサマーキャンプをきっかけに救われ、確信できるものがあった。
・野球を子ども自身が選んだ。小3、4までは楽しくやっていて、親の願いとも同期していた。
・小5くらいから中学にかけて、ユニフォームがよごれなくなってきた。チームは試合ばかりで練習が少ない。試合に出られない息子は上手になれない。でも上手にならないと試合に出られない。
・上手じゃないと野球ができない…いったいどうしたらいいのか、という気持ちだった。
・環境によって親の気持ちも変わると思う。
・今はっきり言えるのは、少年野球はとにかく楽しめ、ということ。
・年代によって伸びるものは異なる。小学生時代は…中学生は…高校生は…といような内容がある。
・少年野球で結果を出しているチームはポジション固定。私のチームではそういうことはしないし、6年生最後の試合はスタメンから全て子どもたちで決める。
・そういう環境にいた子供たちが中学生になって、他のスポーツや学校生活の中で活躍している話を聞くととてもうれしくなる。
・息子は今サッカーと野球、両方やっている。どちらかひとつは選べないと言っている。
・親としては野球だけをやってもらいたいと思っていて残念ですが、しょうがないですね(笑)。
・少年野球チームに、小学2年生でキャッチボールができない子どもが入ってきたときに、コーチが「キャッチボールもできないのか」と言っていたのに親として強い疑念を持ったことがあった。
・息子が続けてきた野球に対して親は子どもの意思を尊重しつつ、「必ず続けること」を伝えてきた。中学、高校とレギュラーではなかった息子がチームでただ1人大学にスポーツ推薦で合格したことは、親としての姿勢(息子に何もしない)が間違っていなかったと実感できたうれしい出来事だった。
・親がもう少し目線を下げると子どもが楽になるのになぁ、と日頃から思っている。
・親と指導者の考えが合っていないと厳しいが、そういう環境の方が多いので、両者の意見交換は重要だと思う。
・親としては、子供にはいろいろなスポーツの中からコレ!というものを見つけてもらいたい。
【指導者と親との意識の違い】
・息子がいる中学野球部の先生は試合中、何も言わない。ピンチでも最低限の言葉しかかけない。場面に応じた対応は子供たちが考えて動いている。その結果に対しても言わない。子供たちの将来を見据えたやり方だと感心するが、それをみて「策がない」という大人もいる。
【指導者の願い】
・甲子園を捨てた。
・夏大前になると匿名のスタメンが書かれた手紙が届いたりする。
・今の子供たちはアウトプットする力が弱いと感じる。そこで発信力をつけたいと思い、チームメイト同士のスピーチなど、言葉でのコミュニケーション機会を設けている。
・3年生全員がチームに必要である、役割を与える、という意味でも植物を育てて間食にしたりしている。
・新チームではサインを選手に出してもらった。選手と監督がお互いを信頼することを前提として選手が主体となり、責任は顧問がとる、という形を11月続けた。来年の夏までやりたいと思っている。
・単願でないと野球部に入れない高校が多く、それは違うと思う。だからうちでは門戸を広くしている。
・高校で硬式野球をやること、その体験が貴重と考えている。
・私は都立高校出身。都内には自分の高校内で練習できる環境は少なかった。
・だから、自チームの子どもたちはすごく良い環境で野球ができる。
・ただ、指導者側は「経験をベース」にした指導になってしまっている。
・生徒の将来を考えたときに、「野球をやる」ということが何に繋がるのか?が大切。
・スポーツの楽しさは勝敗が未確定なこと⇒故に勝つためにやる。但し「勝ち方の美学」がある。
・子どもを見ていると、小学生のときは成長の早い子=できる子。高校ではそんなことはない。
・レギュラーの決め方が重要。
・決めるのに「試合経験」は非常に重要。練習では経験できないものがある。
・練習していないことはできない。そこに指導者のスキルが大きく関係する。
・高校生くらいになると、状況をつくってあげればできる。発想が生まれた後のフォローをしてあげればいい。
・最終的には選手の中でレギュラーは決まっているもの。
・最近では小学校の授業でも考えさせる内容が多い。
・勝ちゲームを大人数で共有することが大切と考えている。
・3年生最後の練習試合は3年生メインで行う。情けとかではなく、最後まで機会を設ける。2年間積み上げてきたものが必ず試合の中に表れる。下級生には3年生をよくみておくように言っている。
・日本の教育のシステムからいって、少年野球に教育者はいない。そういうシステム。
・大人がこれを教育である、と認識することが大切。
・職場の採用面接を対応したときに、相手の回答が用意されたものか、自分の考えとして回答しているのかがよくわかる。「臨機応変」というものに対して弱いと感じる。
・野球をやってきて自分で何かを判断する、考えてやってきた子とそうでない子は、例えばバイトでの仕事の中身も違う。
・長く指導していると、指導者の予想を超えたものが出るときがある。
・ベース、基礎の上に応用があると感じる。
・野球は予測のスポーツ。パターンがありそのための基礎であり応用につながる。
・試合でできなかったことを練習で復習する指導者が少ないように思う。
・高校生より小学生の指導の方が難しい。本当はもっと指導を細分化すべきだと思う。
・小学生でいうとキャッチボールができるかできないかが非常に重要ですね。逆にキャッチボールができればあとは大丈夫、とも言えます。
・私が小学生の時やっていた柔道のコーチと25年ぶりに会ったとき、コーチはあの頃の試合についての思い出話をしたが、私自身はほとんど覚えていなかった。私が覚えていたのは仲間と遊びに行ったことのほうで、それは当時のチームメイトと話しても同じだった。そこに指導者と子どもの意識の違いを実感した。
・現在バスケットの外部コーチをやっている。レギュラーの入替により補欠となった子に対するケアについて、顧問の先生の消極的な姿勢もあり、踏み込んでやっている。
【アメリカと日本の違い】
・アメリカでは地域によってレベル別に分かれる。そのため自然淘汰される
・アメリカでは練習時間も日本と比較して短いし、指導者がそれほど教えない。練習が短い分、それ以外の時間を子ども自身が練習に使うし、親が子どもの面倒をよく見る。だから大器晩成型になるのか。
・日本はジュニア世代のうちは強いが、大学、プロになるとアメリカのほうが強くなるのはそういう背景もある。
・日本はアメリカと違って裾野が広いと言える。それはある意味幸せなことであるはずですが…
・どちらがいいのか、とも思いますが、私は日本人ですし、日本のように裾野が広いことが良い事と思う。
・親が熱いのは日本もアメリカも同じだが、例えば5打数1安打の子どもに対して、アメリカの親は1安打をものすごく褒める。それに対して日本の親は4打数無安打を議論する。
・息子が所属していたポニーリーグ時代、アメリカチームと試合をしたときに、アメリカの選手はアウトでもベンチに戻ってハイタッチをしていた。その打席の良いところを見て共感していると感じた。
・アメリカはシーズンで競技を変える(複数の競技をやる)。
・日本は小学生高学年くらいからひとつの競技に絞る傾向がある。
・日本の野球とアメリカのBaseball、日本が根性、自己犠牲、というイメージに対し、アメリカはテキトー、自由というイメージ。日本の良さもあるがもっと日本の野球は崩してもいいところがあるように思う。
・日本はアメリカと違ってレベル分けをしていない。これはよい環境、悪い環境、両面ある。
・日本の親はとにかくひとつのことを上手にさせたい、という意識が強すぎる。